作業療法士で園芸療法を実践しております、
まつした(@flowerpower_ht)です。
たくさんの園芸療法のサイトがありますが、園芸療法のメリットはたくさん書かれているように思います。
しかし、園芸療法の実践者に聞いてみると意外とデメリットも多いようです。
園芸療法のデメリット:始める時
まず始める時にぶつかるのが、
「なぜ園芸療法なのか」
「なぜ園芸ではいけないのか」
を理解してもらわなければならないことのむずかしさです。
そして、「園芸療法と園芸活動との違い」を理解してもらうことのむずかしさ。。
これは実践者がいつもぶつかることではないでしょうか。
口でいくら説明しても理解してもらえない、理解しにくい、この違い。
まずは「園芸療法とはなにか」ということ自体がむずかしい。
園芸療法実践者全員が抱える悩みであり、モチベーションダウンにつながることではないでしょうか。
園芸療法に対する理解を容易にし、スムーズにスタートできる=園芸療法の普及につながる。
実はここが鶏と卵の問題のように悩ましいところなのです。
園芸療法のデメリット:おこなってみて効果はあるのか、どんな風に説明するか
「園芸療法ってどんな効果があるの?」
このことを理解してもらうのもまたむずかしいことです。
まず、評価方法が統一されていない、園芸療法士によってバラバラ。
評価するのは何か、方法はどうする。そこがむずかしい!
例えば認知症の方々を対象に行う際、長谷川式と呼ばれる認知症の評価方法を用いることがあります。
点数で結果は出るものの、一番重要なのは評価を行っているとき、その過程です。
結果は点数化できるものの、この評価過程を数値化することはまず無理です。
そして、園芸療法を実際行ってみても、すぐに効果があるのか、何回も実施を重ねないと効果が出ない場合もある。
なんらかの効果が出たとしてもそれを数値化すること、これがまたむずかしい。
例え数値化したとしてもその数字が何を意味するのかを表現することがむずかしいです。
園芸療法のデメリット:効果が見られない、かえって悪化してしまった
また、園芸療法を行うにあたって、対象者に園芸に取り組む意欲、興味があるかないか。
この見極め、つまり、評価はとても大切です。
もし園芸なんて、植物なんて、いや、土に触るなんてとんでもない!という対象者だった場合、園芸療法はかえって逆効果でしょう。
万が一、対象者がアレルギーを持っていた場合もそうです。
園芸療法を行ってしばらくするとアレルギー症状が出ることもあります。
そうなると身体的、精神面にも対象者に悪影響を及ぼします。
アレルギー症状の出た方、その家族に苦しみを与えてしまう、周りの職員や施設は責任を追う、園芸療法の継続が困難になりかねません。
そんなトラブルが起こったり園芸療法を実施しても効果がみられない場合、「もう園芸療法は行わなくていい」と言われて中止せざるを得ない場合も考えられます。
評価ミス、その結果のトラブルは命取りになります。
園芸療法のデメリットの対処法;発想の転換
デメリットがあるからといって園芸療法=悪いもの、行ってはいけないこと、ではないはずです。
メリットもあればデメリットもある。
ひとによって、見方によって、とらえかたは変化します。
デメリットとされていることを変えていく。
園芸療法プログラムをしたくても理解されず開始できないなら、一度断られても根気強くアピールすれば受け入れられるケースもあります。
園芸療法がどんな風に良いのか、効果があるのかを説明する方法を考えます。
対象者がなぜ園芸療法を必要とするのかを突き詰めて考え、どこを評価し、何を改善し、目標をどう捉えるかをよく考える。
データ、評価として提示できる方法を考え、園芸療法を行いたい施設などにアピールする。
話せばわかる、受け入れられるケースもあるはずです。
もし対象者にアレルギー症状が出てしまった場合、どう園芸療法を続けていくか、振り返り、あらためて実施方法を施設などに示す。
園芸療法だけではない、ピンチはチャンスです。
仮に失敗したとしても誠意のある謝罪、そして改善方法、対策など示すことでまた続けていけるはず。
なによりデメリットを事前に防ぐ方法は、対象者に園芸療法のメリットを心から提供したいという熱意があれば考えつくのではないでしょうか。
デメリット=メリット。
○○だからダメだ、ではなく、○○だとOKかもしれない、と常にいろんな方向から考える、考えておくことを心がけたいですね。