園芸療法の効果
よく言われることなのですが、
「園芸療法で見られるいろんな効果、すごい!」
「園芸で作業療法。笑顔が見られるっていいよね!」
確かにそうなのです。
だけど、なぜその効果や笑顔が見られるのでしょうか?
「そりゃあ、きれいな花や野菜を収穫するんだから楽しいに決まってる!」
「決まってる」んでしょうか??
みんな「園芸大好き!」なんでしょうか?
アレルギーあるから草花を触ることができない、虫がついてると思うと園芸はできない、というひともいました。
必ずしも、園芸や草花を「みんなが好き」ではないのです。
触れるのもイヤ、ぜんぜん興味ない、というひともいるのです。
なのに、なぜそんな効果や笑顔が見られるのでしょうか?
園芸療法で奇跡が起こった?
園芸療法、どこかでそういう事象が「奇跡」に近いものと思われていたようなところがあります。
「きれいな草花が目の前にあって触れてみたいという衝動が麻痺のある身体を自然と動かした。」
これは「奇跡」ではないのです。
ましてや「自然に動いた」のではないのです。
「園芸療法とは何か」を振り返る
わたしたち園芸療法士はその人に合ったセッティングを事前に考え、環境や道具などを選択します。
クライアントを選択する時点で、そのひとが園芸や草花に少しでも興味があるかどうかなど「評価」を行っています。
そして、どのような心身機能なのかも評価し、どこまで何ができるのか、どのようなプログラムが適しているのかを考えます。
気をつけなければいけないこと、例えばハサミを持ったときや転倒など予想される状況に対処できるよう事前に注意しておきます。
そのクライアントの目標とするものは何か、必要なこと、必要とされる動作なども把握します。
ゴールに向かってのセラピー、リハビリ。
ここが重要です。
つまり、園芸療法とは、草花や土があってなんとなく行うものではないのです。
計算されつくしたものである、ということ。
事前に周到に準備されるべきなのです。
なんとなく良い、ではない
昨日、アニマルセラピストの方の発表で、再認識した言葉があります。
”It's not magic, It's a science.”
「なんとなく良いのではなく、効果をもたらす科学的根拠がある」
そうです。
園芸療法もそうなのです。
「よくわからないけど、園芸ってなんとなくいいよね」
ではないのです。
効果を引き出すために努力し、準備し、実践しています。
そのため、その効果とは予想されるものである。だから奇跡でもなんでもないのです。
笑顔が見られることも「たまたま」「偶然」ではないのです。
すべてが必然であるということが前提であり、実践することでもたらされる効果は予想されていなければならないのです。
必然以外の偶然もありえるから園芸療法はおもしろい
その効果以外にみられる効果は波及効果であり、園芸療法がトリガーとなって起こった思いがけない、または素晴らしい現象。
それこそが奇跡なのかもしれません。
しかし、園芸療法でもたらされる効果はおおよそすべて根拠があり、科学的に計算されたものです。
それら波及効果も計算されたものであるからこそもたらされたものである、ということを忘れてはいけない、と今回あらためて気づかされました。
「園芸で作業療法。笑顔が見られるっていいよね!」だけではないのです。