2020年から新型コロナウィルスの蔓延で世界はてんやわんやです。
ひっくり返ってしまった世界。
園芸療法も人と人との接触になるため実施をやめる、休むところが多くなっています。
考えるに、ほんとうにやめるべきなのだろうか?
今までつづけてきた園芸療法をパタンとやめてしまって良いものだろうか?
新型コロナで園芸療法をやめることのリスク
わたしはいままで高齢者施設で主に園芸療法を行ってきました。
特に高齢者にとって、コンスタントに、同じ時間、同じ場所、同じメンバーで行う、そのリズムがすでに園芸療法です。
認知機能低下の維持に役立ちます。
「新型コロナウィルスが伝染るかもしれない。」
そう恐れて園芸療法をやめてしまうのはどうなのでしょう?
そうなったときのことをちょっと考えてみます。
今まで習慣化していた園芸療法をやめる、高齢者が今までなじんでいたことができなくなる。
作業剥奪、という現象です。
できることをとりあげる、やめさせる。
認知機能低下を引き起こす、そして身体機能も低下します。
わたしたちも同じです。
今までやっていたことができなくなって家で過ごすことが多くなり、ぽかーんと空虚な時間を送ることになったとしたら。
いや、もうすでにそういった生活に慣れてしまっているかもしれませんね。
ご自分でご自分のことを見てみると、なんだか体重が増えた、力が出にくい、あるいは転ぶことが多くなった。。
もしかするとそんなことが起こっていないでしょうか?
ましてや高齢者です。
体力、認知力は年齢とともにどうしても衰えます。
「新型コロナにうつってはいけない」とデイサービスやデイケアを休む方も多いと聞きます。
いままで通っていた場所に行けない、知っている人とおしゃべりができない、体操や趣味ができない。。
できないづくしのその先にあるものは?
廃用と認知低下です。
動かないことでより動けなくなる、力がでなくなる。
記憶力がより衰えてしまう。
たとえばトイレに立つことさえ、用を足すことさえできなくなってしまう。
たとえば自宅から外にでる階段が上り下りできていたのにその1段が大変になってきた。
ご本人も大変、介助や介護をされているご家族も大変!
一番恐れていたことが今、現実に起こっています。
園芸療法 大事なものは 毎日の暮らし
なんでもない毎日のこと、顔を洗う、歯を磨く、そして庭木に水をやる。。
そんな生活リズムがくずれると一気に老いは進みます。
こんな少しのこと、と思ってもその方にとっては大事な作業。
園芸療法を「コロナがうつる!」とやっきになってストップするのはどうなのでしょう。
実施する前に十分手洗いをする、実施中はマスクをする、行ったあとも手洗いをする。
清潔を維持し、実施中に気を配れば園芸療法は行えるはず。
接触、非接触と敏感になられるなら介護職員は働くことはできません。
ピッタリと身体をひっつけてお世話しないといけない場面はたくさんあります。
トイレ、入浴、ベッドから車椅子への移乗、おむつ交換など、介護をやめるわけにはいきません。
介護はよくてなぜ園芸療法、リハビリはダメなのか。
やめてしまうとさらにその人らしさはなくなっていく。
自発的にできる方なら良いのです。
こちらから誘って少人数でも誰かと一緒に行うからこそ効果のでるリハビリ、園芸療法。
園芸療法を止めないで。
心からそう願っています。